清らかに

若手芸人の僕が、やらなくなったネタを埋葬していきます。

「露出狂」

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設定 人通りが無い暗い夜道

登場人

かなこ 30代の未婚キャリアウーマ

近藤 40代の男、爽やかな顔立ち

視点 かなこ

 

  

「もうこんな時間」

かなこは大手銀行に努めるキャリアウーマンだ。

自分は仕事で生きる人間だ。そう思っていた。

「今日は早く帰りたいから‥‥こっちで帰ろう」

最寄駅から家までは徒歩10分くらいだが、公園の小道を通れば5分程で到着する。

深夜に通るのは不安だったが、大丈夫だろうと思っていた。

かなこ 「結構暗いわね。怖いわ。」

すると後ろから人の気配がした‥‥

近藤 「見てー。見てー。」

必死の思いで逃げ出そうとした。だが腰が抜けて動けない。

かなこ 「何なの、ちょっと!何!助けてー!」

近藤 「見てー見てー」

男の姿が一瞬目に入った。長いコートを着て全身を隠している。露出魔だ。
気持ち悪い。早く逃げないと早く早く。その想いとは裏腹に動かない足。そしてその男は目の前に立った。

近藤「見てー見てー見て!!!!」

それと同時に男はコートを脱いだ。

かなこ「キャーーーー!!!」

驚いた。男はコートの下にカジュアルな服を着ていた。

かなこ「えっ。何?」

近藤 「どう?」

かなこ「えっ?」

近藤 「 服どう?」

かなこ「服??!!」

男はなぜかポージングを2、3回変えていた。

かなこもどうしていいかわからず、とりあえず言う通りにした。

かなこ「いやまぁ、普通な感じでいいんじゃないですか?」

男は笑顔になって帰って行った。

かなこ「何だったの今の、よくわからないわ」

帰ろうとしたが、足を挫いてしまい、少し痛むので少し休憩することにした。

すると‥‥

近藤「見てー見てー」

かなこ「何なの?」

近藤「俺の一張羅見てー。」

かなこ「一張羅?」

近藤「見て見て見て見て!!!!」

コート下にはヴィンテージのジーパン。上はカーキ色のBEAMSのシャツ。とても似合っていた。

近藤「服どう?」

かなこ「んまぁ、かっこいいんじゃないですか?」

男は満面の笑みで帰って行った。

足は治っている、明日も早いから早く帰らないと。

ただもう少しここにいることにして見た。

近藤「見てー見てー俺のドレスコーデ見てー」

その男はもうすでに黒のハットを被って来た。

かなこ「何回くるのよ。」

そう言いながら全く目をそらしていなかった。

近藤「見て見て見て見て!!!!」

コートの下には品のある黒のスーツに遊びのある蝶ネクタイ。革靴はおそらくオーダーメイドだ。

思わず「かっこいい」と言ってしまった。

かなこ「かっこいいじゃない。」

男は笑顔で帰ろうとする。

かなこ「待って‥‥あの。連絡先とか交換していただけないでしょうか?」

まさか、こんな変な人に惹かれるなんて思わなかった。

自分でもありえないと思ったが、それ以上に惹かれるものがあった。

こんな出会いもありかなと思ってしまった。

近藤「えっ?えっっ?僕?」

まさか自分がそんなことを言われると思ってなかったのだろう。びっくりして当然だ。

かなこ「ご飯とか行きたいなと思って。連絡先教えてください。」

近藤「えっ?ええ?」

かなこ「だからちょっと気になるから連絡先教え‥‥」

近藤「あっ。僕ゲイなんで。」

すると男は怪訝そうな顔で帰って行った。

この前断ったが、

両親が用意してくれたお見合いに行ってみようと思った。