清らかに

若手芸人の僕が、やらなくなったネタを埋葬していきます。

「交差する思い」

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設定 雪山で遭難

 

登場人物
  1. 山本 正義感があり人情あふれる男
  2. 高橋 あまり自分の意思を見せず、普段はあまり喋らない男
 
視点 山本
 
 

 

「なんとかしないと」、と思った。

高橋はうつむいて降り積もる雪道を歩いている。

気温はどんどん低下し、食料もつきかけてる。助けを待つより自ら生きる道を探しに歩く、二人でそう決めたのだ。

山本 大丈夫か?しっかりしろ!二人で生き残るんだろ!なんとしてでも二人で、下山するぞ!

高橋 そうだな。ありがとう。二人で頑張って歩こう。

山本 よし、行くぞ!!痛いッ!

大きい石につっかえてしまった。

高橋 おい!大丈夫か!

何度か立とうとするが足首が野球ボールほどに腫れてしまっていた。

山本 うっ。歩けない。すまない‥

高橋 そうか‥

沈黙が続く、なんとも言えない空気の中、山本が口を開く

「悪いが、おんぶしてく‥‥」

それと同時に高橋も口を開く。

「お前のこと一生‥」

山本 えっ。

高橋 えっ。

山本 今、なんて言った?

高橋 いや別に‥

山本 ‥‥そうか

一瞬信じられない言葉を聞いたかと思ったが、何かの聞き間違いだろうと思った。

高橋 少し休憩しよう

二人はそこにある大きい石で少し休憩することにした。

高橋 ちょっと食べ物食べようか

先行きも分からないこんなタイミングで食べてしまうことに不安を感じたが今まで感じたことのないほどに腹が減っていた。

山本 そうだな。

山本のリュックからは消しゴムほどの大きさのチョコレート

高橋のリュックからは大学ノートほどの大きさのチョコレートが2枚。

気まずい沈黙が流れる。

山本は目で訴えるが高橋は自分とは逆の方に向きを変えた。

高橋は隠すようにチョコレートをしまった。

山本はまだ信じられなかった。一緒に助かると約束した友人がまさかこんなことをするわけがない。

意を決して高橋に声をかける

山本 ちょっとさぁ。おんぶしてくれないかな?

高橋 腰痛いんだよねー。

山本 えっ。腰が痛い?なんか途中で転んだりしたのか?

高橋 腰痛持ちでさー。今ちょっと痛いんだよねー。

山本 ちょっと???は?

山本は食い下がる

山本 じゃあ肩貸してくれるだけでいいから!片足で歩くから!

高橋 いや俺、肩脱臼してんのよー痛くてさ。

山本 いやリュック背負ってんじゃねーかよ!

高橋 ‥‥

山本 わかったよ!くそが!じゃあ自分で歩くから太い枝みたいなもん探してきてくれ!森だから近くにあるだろ!

高橋 チョコと交換だ。

山本 は?

高橋 リュックの中に入ってるチョコを渡すなら考えてもいいよ

山本 お前人間じゃねーな!

高橋 諦めないからだろ!!

山本 おい。どうした?

高橋 ネズミの餌くらいの食料しかなくて、足くじいたから助けてくださいだと?

山本 俺ら親友じゃねーか!

高橋 使い物にならねークズは、せめて迷惑かけないように黙って死ね!!

山本 心の闇やばすぎんだろ!クッソ!おい!何すんだ!

高橋は俺を殴り、全てが入っているリュックを奪った。

高橋 どうせ死ぬんだからこれもいらないだろ

山本 やばすぎんだろ。お前!!絶対許さないからな!!

高橋 追ってこられると面倒だから一応ね。

そういうと高橋は足のくじいた逆側の足首を踏んだ。

山本 いてぇ!!両足潰してんじゃねーよ!お前よくそんなことができるな!

高橋 黙れ!一応最後に聞いておいてやるよ!最後に親に残しとく言葉はあるか?

山本 ‥‥クッソ野郎が‥‥ぢゃあせめて親孝行できなくて‥‥

高橋 言わないけどねー!めんどくさいからー!

山本 絶対殺す!!お前絶対殺してやるからな!!!

高橋 じゃあな。負け組。

そういうとあいつは走って遠くに消えていった。

山本 なんで俺だけこんな目に、、

死を覚悟し、目を閉じようとしたその時

高橋が歩いていった方向とは逆方向からたくさんの光が

山本 おーい!!ここだ!おーい!助けてくれ!おーい!

救助隊 大丈夫ですか?すぐに病院に運ぶぞ!担架に乗せろ!

朦朧とする意識の中、

救助隊 他に遭難者は?

笑顔で答えた 

山本 いません